一般の皆さまへ

  へき地で医療研修をするということ
        ~平戸と大学で育てる地域医療~
長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構
准教授 中桶了太
へき地医療とはどのような医療なのでしょうか?

老齢の医師が余生を過ごすため、地域と寄り添っている医療のでしょうか?
診療所で聴診器だけで診断し治療するのが地域医療でしょうか?

TVや新聞での報道通りに、へき地や離島は人口減少、基幹産業である農業や漁業の不振、高齢化、医師不足による医療崩壊など困難な状況を抱えています。

H16年から医師免許取得後、2年間の初期臨床研修が義務づけられています。
内科、外科、小児科を中心に様々な診療科ローテイトして初期診療に対応できる医師育成を目的としています。
H22年度から研修体制の見直しがおこなわれ、1ヶ月間の地域の医療機関での研修が必須となります。若いドクターが地域医療に触れるチャンスが増えたのです。

人口に占める65歳以上の割合=高齢化率のグラフです。

人口に占める65歳以上の割合=高齢化率のグラフ

H17年は平戸市では約30%、全国平均が約20%。
グラフを横軸で眺めていくと、平戸市の高齢化率が20%に到達したのは平成5~6年頃。つまり、10年以上前に先取りした医療をおこなっていたのです。
現在のへき地は日本の10年先、もしくはもっと近い未来像なのです。

地域で医療を経験することは、未来の医療を体験することなのかもしれません。

また、高齢者は多くの慢性疾患のコントロールも必要です。
一人の患者さんに同時に複数の疾患の治療を実施しており、新患のマネージメント能力や、総合力が鍛えられるのです。

平戸市民病院は平戸市の保健センターを併設しており、福祉・保健と医療が連携しながら地域の健康マネージメントをおこなっています。公民館を巡回しながらの健康講座もおこなっています。予防やリハビリに配慮した医療をおこなうことができるのです。

健診の様子   健康講座の様子
健診の様子 健康講座の様子

在宅で療養している患者さんや、ご家族は、喜んで研修に協力頂いております。地域からの医療、地域が求める医療についてお話くださっています。

訪問診療の様子    
訪問診療の様子  

地域でしかできない体験、地域ならではの取り組みを積極的に取り入れております。
このような地域医療研修のお世話をするのがわたしたちのチャレンジなのです。

平戸国際ワークショップ