初期研修医

山口 博行 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)
山口博行 山口 博行
横浜市立大学附属市民総合医療センター
平成27年1月5日~平成27年2月27日
(平戸市民病院)

 平成27年1〜2月平戸市民病院で地域医療研修をさせていただきました。
平戸市出身者として地元で医療ができることは感慨深いものがありましたが、まずは地域で行われている医療を学び、少しでも地域の方々に貢献できるよう研修をスタートしました。
 医者の少ない、専門科の揃っていない地域の病院では何科に関わらずどんな患者さんでも診なければなりません。当然のように循環器内科医が血糖コントロールをします。内科も外科も関係ありません。外科の外来でも最近咳が出るんですっていう人が来ます。内科でも爪の処置をします。
 この状況を打破するために、私は医師の循環が必要と考えます。大病院で先進の医療を学んだ医師に、現在行われている医療を地域へ次から次へと持ってきてもらうことで医療はアップデートされていき高いレベルでの医療が提供されると考えます。具体的には後期研修医くらいが最適と考えられます。
 地域に来た医師にももちろんメリットがあります。地域医療に従事する医師は幅広い知識と高い総合診療能力を持ち実践しています。また、地域に密着し病気を診るのではなく、患者さん自身はもとより生活全体をサポートしており、そういう医師たちから学ぶことは多いです。加えて、平戸市民病院ではprimary care能力をレベルアップできるだけではなく、保健、福祉との連携が密であり、予防医療の実践が為されているため、そういった包括的医療体制を学ぶことができます。
 近年、generalist(総合医)への関心が高まり、総合医を志す研修医や学生が増えています。そういった人々をどんどん取り込んでいくと活性化するはずです。
 現在の患者さんに寄り添った医師たちの姿勢は中々真似のできないことではありますが、それに加え科学的根拠に基づいた適正な医療ができるようになれば、まさに地域医療こそが最先端の医療であると断言できるようになると思います。
 医師の循環が必要と簡単には言えますが中々難しいものです。現在の、へき地病院再生支援・教育機構での初期研修の地域医療研修受け入れの成功が、次の後期研修医を呼び込む轍となることを願っています。
 最後に、地元平戸市出身ということで、外来で来られる患者さんやご家族の方々に大変感謝していただきました。また、親戚や友人、近所の方、家族の知り合いなど多くの私を知る方々も受診した際に声をかけていただきました。やはりそのようなお世話になった方々にはより一層気を引き締めて診療をしなければという気持ちになりました。これが地元で医者をやるという感覚なのだなと実感できました。
 この2カ月間で何物にも代えがたい貴重な経験をさせてもらいました。またこの地を離れることになりますが何かまた恩返しが出来たらと思っています。
 本当にありがとうございました。