初期研修医

竹内 弘之 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院)
竹内弘之 竹内 弘之
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院
平成30年5月7日~平成30年6月1日
(平戸市民病院)

 自分が普段勤務する病院の地域研修先は今回お世話になりました平戸市民病院と決まっています。昨年8月には、平戸サマーキャンプに参加し、訪問診療に参加したりバーベキューをしたり、色々な地域で活躍なさっている方の公演を聴いたりと、勉強させていただきました。
 今回お世話になりました5月の平戸は、酒造の蔵開きやお魚祭り、蛍がみごろということもあり、週末は満喫した休みを過ごせました。他にも、魚釣りの宝庫であるこの平戸でイカ釣りをしたり、生月を1周したり、この度世界遺産に登録されることになった春日の棚田など観光も十分にできました。これだけだと、遊びに来たみたいなので今回平戸という地域の病院が、普段勤務している病院とどういった違いがあるのか、そしてどういったことを学んだか述べます。
 まず最初に、レントゲンやCTの撮影方法を学びました。なぜかというと、夜間帯には技師さんはいません。つまり自分で撮ることになります。気合を入れた初回の当直では画像検査をしてみたい気持ちでいっぱいでしたが、そうそう機会はなく、夜明け前に脳卒中疑いの人の連絡が入ったときはすぐに技師さんを呼んでもらいました。さすがにMRIは無理だ!と。結局、撮影する機会はあったのかというと、その後の当直で何回かはありました。検査でいうと、侵襲がなく、手軽にできて分かることも非常に多い、エコー検査は何度も行いました。この1ヶ月でかなり上達したと思います。
 話はかわって、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリに同行する機会がありました。訪問する家々によって環境は全く違い、リフォームをしっかりしてバリアフリーになった家もあれば、倉庫を改築して生活できるようにしたところなど・・・。そういった家庭背景も含めて個々に応じたサービスや医療を提供する現場を見て学ぶことも多くありました。
 一番印象に残っている人は、1週間前に妻に先立たれ、自宅では独りで生活していくことは困難で、娘が生活する家の近くにアパートを借りている人でした。元々畑仕事をしていたようで、畑もなくただ、ベットに横になり過ごしている様子でした。『畑もないし何もする気が起きない。』『妻が羨ましい。俺もはやく逝きたい。』『先生、何かないですか?』只々、話を聞いてあげる事しかできませんでした。
 1ヶ月と短い間でしたが、学ぶものは多く、考えさせられた事も本当に多くありました。今後の医療人生に今回の経験を活かして頑張りたいと思います。市民病院の皆さん、本当にありがとうございました。