初期研修医

高波 裕喜 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
高波裕喜 高波 裕喜
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
平成30年12月3日~平成30年12月28日
(平戸市民病院)

 都会の喧騒から離れ、寒さ深まる12月の平戸で1ヶ月間の地域研修を行いました。毎日がとても充実しており、このような機会を与えてくださった関係者の皆様、研修中にサポート頂いた平戸市民病院のスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。
 振り返ると、雨の中、辺りが真っ暗の病院に一人到着した夜は不安で仕方なかったことを思い出します。しかし私のような新参者を、病院職員の方々をはじめとする平戸の皆様は温かく迎えてくださり、そんな不安はいつしか消え去っていました。地域医療に対する、どちらかと言えばネガティブなイメージも研修を通じて大きく変わりました。過疎、高齢化、人手不足といった問題を抱えながらも、そこで医療に携わる人々の生き生きとした表情がとても印象に残っています。疾患だけでなく生い立ちや職業、家族構成などの背景を把握し生活を支える医療が自然と実践されており、わずかながらもそこに携わることで医療の根源的な役割を再認識することができました。
 診療だけでなく、職場健診や小学校訪問、乳児健診など院外の研修も貴重な経験でした。都市部の急性期病院に勤務していると、病院だけが医療の現場であると勘違いしがちです。サッカーでは90分間で自分がボールに触れるのはせいぜい2分と言われていますが、病院で行われる外来診療や入院も患者さんの生活や医療全体を考えると一部分に過ぎません。そんな限られた環境、時間の中で病院や医師にできる最善は何か常に考えていこうと思います。
 この1ヶ月は平戸や地域医療の魅力に触れることができたでけでなく、自分がなぜ医師になったのか、これから医師としてどうありたいかをあらためて考えるきっかけとなりました。初期研修も残りわずかとなりましたが、医師としても人間としても成長できるよう今後も努力を続けたいと思います。