初期研修医

髙橋 ゆう子 (独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院)
髙橋ゆう子 髙橋 ゆう子
独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院
平成23年5月9日~平成23年6月3日
(平戸市民病院)

 5月9日から6月3日までの4週間、平戸市民病院で地域医療研修をさせていただきました、横浜労災病院研修医2年目の高橋ゆう子と申します。
 東京・横浜で生まれ育ち、勤め先も横浜という私にとって地元を離れ生活するのは26年間で初めての経験であったため、来る前は緊張でいっぱいでした。しかし平戸市民病院のスタッフの方々にとても温かく迎えていただき、生活環境も十分に整えていただいていたため、すぐに慣れることができました。
 私の研修先の横浜労災病院では研修医の仕事は病棟業務・救急外来当直であり、主に急性期の患者さんを診てきました。なので、こちらの研修でまず戸惑ったのが外来診療です。ほとんどの患者さんが高齢者で慢性期疾患、とくに高血圧・糖尿病の管理の方が多く、どのように介入したらよいかがわかりませんでした。しかし一番大事なことは本人の話をよく聞き、どういった生活をしているのか、どこで誰と暮らしているのか、何に困っているのかなどを汲み取って、病気ではなく患者自身を診ることなのだと感じました。平戸市民病院は交通の便が自家用車・バスと限られていますが、訪問診療、出前講座などを積極的に行っていることが印象的でした。実際に訪問診療に行ってみると寝たきりの患者さんがいる家庭では老老介護になってしまう方が多く、そういった状況では訪問診療が頼みの綱なのだと改めて考えさせられました。また、出前講座はとっつきやすい高血圧・糖尿病の話と寸劇で笑いを交えてわかりやすい場になっており、何より市民の方と医療者の距離が近いことに驚きました。市民の方も気軽に質問できる空気が流れており、もうすぐ第100回を迎えるとのことですが、1から出前講座を取り仕切ってきたスタッフの方々の努力の賜物だと思います。
 4週間という短い間でしたが、平戸市民病院の基本理念にある「地域に愛され信頼される」医療を感じとることができました。今後ますます高齢化が進んでいく日本にとって、平戸市民病院の実践する地域包括医療が主体となって来るのではないかと思います。まだまだ未熟ですが、5年後・10年後に成長して平戸で学んだ医療を生かせていけるよう、精一杯努力します。
また、プライベートでもおいしい海の幸をごちそうになったり、休日は足を延ばして観光に出かけたりと、大変充実した生活を送らせていただきました。
 最後になりましたが、平戸市民病院の職員の皆さま、そして平戸市民の方々、1か月間大変お世話になりました。平戸という素晴らしい場所で研修ができたことを今後の人生において最大限に生かしたいと思います。本当にありがとうございました。