初期研修医

鈴木 りえ (独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院)
鈴木りえ 鈴木 りえ
独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院
平成31年3月4日~平成31年3月20日
(平戸市民病院)

 私は3月の1ヶ月間を平戸市民病院でお世話になりました。
 私が平戸市民病院で研修させて頂きたいと考えたのは、都会育ちで研修生活も大阪の私は、田舎で働くとはどんな感じなのか、平戸というあまり聞いたことのない土地で生活してみることで新たな発見があるのではないか、と興味を持ったからです。
 私が一番驚いたことは、平戸市民病院で働いている医師のジェネラリストとしてのレベルの高さです。都会で働いていると、専門分野のみをみることになり、患者一人一人を見ているというよりかはむしろ、疾患一つ一つを見ていくことの方が多いと思います。例えば、糖尿病と高血圧による慢性腎不全・心不全の患者に対して糖尿病に関しては糖尿病内科、腎臓に関しては腎臓内科、高血圧・心不全に関しては循環器内科といったように、一つ一つの疾患をそれぞれの専門性を持った医師が対応することが多いと思います。しかし、平戸市民病院では一人の患者に責任を持って診ているというのが印象的でした。また特に感動したことは訪問診療と訪問看護です。訪問診療では病院まで通院することのできない患者の家に行き、診察を行い、どんな風に生活しているかのチェックまで行います。普段病院で勤務している私は、外来や入院患者と接していても、どんな生活をしているのかはわかりません。しかし、訪問診療・訪問看護では生活まで知り、考えることができるのです。
 私は常々マッチングや異動の際の面接では売り文句として「患者様に寄り添う医療を提供していきたいです。」と話していましたが、患者に寄り添う医療とはまさにこんな医療なのではないかと思いました。患者のことを一つの疾患症例としてみるのではなく、一人の人間として対応していき、患者身体全体の問題点を洗い出し、どんな医療を提供していくのかを考えていく、これは医療としてのあるべき姿なのではないかと思いました。1ヶ月の地域研修を通して、地域医療とは単に田舎の医療を言うのでは無く、地域に根付き、地域の健康に貢献する医療を言うのだと感じました。田舎だからといって最善の医療を提供することが出来ないわけでは決してなく、田舎であっても最適な医療を受けることができると学びました。この1ヶ月間で培った経験を、今後の医師人生に活かしていきたいと思います。
 最後になりましたが、平戸市民病院での研修を受け入れてくださった病院関係者の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。