初期研修医

菅野 恵也 (長崎大学病院)
菅野恵也 菅野 恵也
長崎大学病院
平成26年12月1日~平成26年12月26日
(平戸市民病院)

 はじめて平戸を訪れた日のことは忘れないだろう。道中の平戸市街地で迷った私を平戸市民病院まで30分以上も先導していただいた方に出会った。平戸は何と温かい所だろう。そんな思いを裏切るかのようにこの1ヶ月の天気は大荒れで、小雪がちらつく寒さが続いた。船上で釣り針をたらしながら過ごした時間、自分が医師であることを証明するかのように薄い白衣を身にまとって訪問した家々、家族の笑顔、その笑顔の裏に滲む介護の疲労、僻地医療とは何か、自分のこれからの医師としての道を考えた日々、先生方の豊かな経験談・プロ根性など印象に残る。
 様々な出会いの中で自分は成長できているのかと少し不安になることもあったが、この1ヶ月間は人生で一度きりであることに違いはなかった。医療の多様な在り方、地域による医師の役割の違いを知った。
 総合医と専門医はピラミッド様のヒエラルキーを想像しがちだが、実際は並列の関係性にあり、カバーする領域の違いにすぎない。その土地に根ざし、住民のニーズを拾い上げようとする医療こそ本当に「質の高い」医療であり、その地域の医療が目指すところであるといえる。
 また、様々な先生の外来を診る機会は研修医の期間だけに与えられた特権である。このようなことに気づく貴重な機会・時間を与えていただいた平戸市民病院の方々をはじめ、研修生活を支えていただいた方々、同時期に研修生活を送った先輩研修医の先生方に感謝申し上げます。