祖父江 瑶子 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
祖父江 瑶子 | |
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独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院 令和2年12月1日~令和2年12月28日 (平戸市民病院) |
平戸へ来た当日は、バスの乗り継ぎに失敗し、市街地で冷たい風に吹かれながら40分ほど一人バス待ちをすることになり、「大変なところに来てしまった」と思いました。しかし、平戸での研修生活は大変充実しており、横浜へ戻るころには愛着の湧く場所になっていました。
研修では、上級医の指導のもとで外来診察を行ったり、病棟で患者さんを主体的に受け持ったりと、初めての経験が数多くありました。特に慢性期外来では、状態が大きく変わらない患者さんに一歩進んだアドバイスをしたり、患者さんごとに目標設定を変えたりということに難しさを感じました。先生方やスタッフの方々は、患者さんの居住環境や職業、家族などについて詳細に把握しており、必ずしも正常な数値を目指すことが正解というわけではなく、生活背景も考慮しつつ患者さんが快適に過ごせる方法を模索することが大切なのだということを思い出すことができました。また、横浜の研修病院では診療科が細分化され、患者さんは疾患ごとに様々な診療科を受診することになりますが、平戸市民病院では主に内科と外科の2科で診療が行われており、患者さんの疾患を網羅的に診ることで、新たな問題に気付いたり、治療方針を決める手がかりを得られたりすることを学びました。
今回の研修では、訪問診療や訪問看護など院外での活動にも同行する機会を得ましたが、在宅医療や地域完結の医療には多くの人の協力が求められることを実感しました。それは家族やコメディカルの方々だけでなく、近隣の病院や行政にも共通して言えることだと思います。そして人口の多寡にかかわらず、私の住む横浜においても同じであると思います。今後ますます増加する高齢者だけでなく、障害を抱え通院困難な方々に対して、皆が連携しながら支えていく必要があることを、医療スタッフと患者さんとの距離が近い平戸市民病院で研修を行う中で、より鮮明に意識することができました。
平戸については日本史で聞いたことがあったものの、詳しいことは知りませんでした。滞在中に歴史や文化への理解を深め、景勝地をめぐり、美味しい食事をいただき、医療の知識以外の幅も広げることができた素晴らしい1か月になりました。
最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延という非常事態であるにも関わらず、私たち研修医を受け入れ指導してくださった平戸市民病院の先生方、スタッフの皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。