初期研修医

申 丹妮 (東京大学医学部附属病院)
申 丹妮 申 丹妮
東京大学医学部附属病院
平成31年4月1日~平成31年4月26日
(平戸市民病院)

 平成31年4月の1か月間、平戸市民病院で研修させていただきました。大学病院では細分化された診療科に属して研修しておりましたが、診療科毎ではなく、患者さんとそのご家族や生活背景含めて診ている平戸市民病院での研修は毎日が新鮮で刺激的でした。
 最も印象深かったのは医療スタッフと患者さんの距離の近さでした。患者さんにとって主治医は、時には良き話し相手になる友人、時には困ったときに頼れる親戚であるような印象を受けました。先生方は専門分野を越えて、患者さん一人一人をジェネラルに診ているからこそ、このような信頼関係を築くことができたのではないかと思いました。そして訪問する研修医を温かく迎え、名前を覚えてくださり、また会えてうれしかったですと仰っていただいた時の喜びは今でも忘れられません。
 また、一般外来、訪問診療、訪問看護、訪問リハ、ケアマネ訪問及び救急医療懇話会を通じて様々な医療従事者と関わることができました。看護師さんは在宅患者さんの些細な変化に最も早く気づいてくれます。PT・OT・STさんは患者さんができる限り良い生活を送れるまで導いてくれます。ケアマネさんは患者さんの日常生活の設計者です。救急救命士さんは狭い空間でも挿管ができたり、危機的状況であるか判断し適切な医療機関に搬送できるようトレーニングしています。多職種の連携があって初めて医者はチーム医療の指揮者となることができ、地域医療が成り立っていることを実感しました。
 他にも普段経験することのない事業所健診、乳児健診、小学校健診を経験させていただきました。医療資源が限られている中では、予防医学がより重要となり、市民の健康意識を高めるための先生方の工夫を体感することができました。
 将来眼科志望であることから、2週間に1回派遣で来られている眼科医師の外来も半日見学させていただきました。患者さんのカルテが山のように積み重なり、内科の外来で網膜症高リスク患者さんが毎年の眼科受診もなかなか受けることができていない所を見ると、将来地域で眼科医として働くのも良い選択肢ではないかと思いました。
 最後になりましたが、先生方の熱心なご指導や温かいスタッフ方の支えのもとで、充実した地域研修を送ることができました。平戸で学んだことを大切にこれからも精進していきたいと思います。先生方、病院スタッフの皆様、研修医の同期、患者さんとそのご家族様に深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。