初期研修医

佐藤 千紗 (医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター)
佐藤千紗 佐藤 千紗
医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター
令和2年11月2日~令和元年11月27日
(平戸市民病院)

 平戸市民病院で約1か月間研修をさせて頂き、普段の研修病院では経験することのできないことを学ぶことができました。
 研修期間中に心肺停止の患者さんが搬送されてきたことがあり、残念ながらお亡くなりになってしまいました。しかし、都市部の高度救命救急センターが近くにあるような場所であれば迅速に治療を行い、助かった可能性もある症例でした。その患者さんは定期的な医療機関の受診はしていませんでした。年齢的にも高血圧や糖尿病などを持っていた可能性は十分にあります。定期的に病院にかかり、治療を受けていればこのような事態を防ぐことができたのかもしれません。高度な医療へのアクセスが困難な地域では生活指導や健診、持病への初期段階からの介入が重要であると実感しました。
 私は今まで僻地で医師として働くと最新の情報が手に入りづらく、遅れをとってしまうのではないかと思っていました。しかし、僻地では限られた医療資源の中で専門医もいない中で診療を行わなければならず、想像以上に幅広い知識や技術が必要であると実感しました。自分の専門領域のみ診療し、困った時にはいつでも他科に相談できるような環境とは異なった、医師としての技量が必要であると思いました。
 また大学病院等を受診するような患者さんは病気を治したいという気持ちが大きく、治療を中心に生活を送ることが多いです。しかし、平戸市民病院のような医療機関では病気が初期段階であったり、慢性期疾患で病状が落ち着いていたり、患者ご本人の病識が乏しかったりするため患者さんの生活スタイルに合わせて治療を選択しなければならないことも多々あります。このように大学病院等の医療機関と僻地での医療機関とでは必要とされる医師としての知識・技術は異なり、両者を比較するものではないと感じました。
 この一か月間でより患者さんの生活に密着した医療を学ぶことができました。来年度から大学病院で専門研修が始まりますが、常に患者さんの社会的背景を考慮しながらの診療を心掛けていきたいと思います。