小野 晋太郎 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院)
小野 晋太郎 | |
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社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院 平成30年7月2日~平成30年7月31日 (平戸市民病院) |
前年度にサマーキャンプに参加させていただいていたので、少しばかりの懐かしさと新たな環境に身を置く期待感とともに平戸での研修に臨みました。初週は中国地方に大災害をもたらした台風7号が平戸に上陸し、院内が一時停電に陥るなどして、その凄まじさを感じていました。台風が通り過ぎた翌日の訪問看護では、平戸の深い山道の至る所に折れた木の残骸や木の葉が落ちており、訪れた患者さん宅のガラス窓にも木の板が打ち付けられていたりしました。その後の清掃・撤去作業では蜂やダニなどの虫に刺されたり、熱中症になってしまったりした方々がおり、被害に遭われた方々に対して大変申し訳ないのですが、実習させていただいている身としては二次災害の具体的な症例を経験させていただきました。その後はずっと天候に恵まれ、雨の気配を微塵も感じさせない夏らしい快晴の日々が続きました。そのため、訪問診療に行く度に平戸の美しい風景を目にすることができました。その中でも一番惹かれたのは海の風景でした。私は長崎生まれ、長崎育ちなのでこれまでも比較的海と近い生活だったと思っていますが、平戸には美しい砂浜が点在しており、それらを見てモチベーションを保ちながら日々の研修に臨むことができたと思います。訪問診療では患者さんの普段の生活の中で診療を行うわけですが、それは普段私たちが院内でしか診ていない患者さんの、リアルな退院後の生活の中に身を置いている確かな実感があり、そこで医療行為を行うことで地域医療を実践している、患者さんに寄り添った医療を行えているという充実感がありました。ただ、一方で生活環境がより鮮明に見えてくることで、患者さんのQOLを低下させている疾患以外の原因というものが数多く認められ、そういったことまで考慮して対応していく困難さも感じました。ただ、これは地域医療に特定されるものではありませんが、それらの問題について複数・多職種の人間で考えていくことがより良い医療につながるのだという確信も得ることができました。
最後になりますが、平戸市民病院のみなさん、平戸で関わったその他のみなさん、そして時を同じくして研修していた研修医のみなさん、おかげ様で公私ともに充実した1ヶ月を過ごすことができました。本当にありがとうございました!