初期研修医

小見川 知佳 (独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院)
小見川知佳 小見川 知佳
独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院
平成27年7月6日~平成27年7月31日
(平戸市民病院)

 あっという間に4週間の研修期間が終了してしまいました。今は寂しい気持ちと、非常に充実した研修を終えることができたことの達成感でいっぱいです。一人飛行機とバスを乗り継ぎ、梅雨空のどんよりした雲で小雨の降るなか、平戸に到着したときは不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、その不安はとても穏やかな先生方・スタッフ方にお出迎え頂き、よく練られたプログラムがあったことで研修初日の夜にはすぐ消えました。とても温かく、やさしいご指導・ご配慮本当にありがとうございました。
 4週間の間には、訪問診療、訪問看護・リハビリテーション、度島診療所研修、院長先生をはじめ多くの先生方からの講義、住民健診や出前講座など、日常では経験できない非常に貴重な機会をいただきました。また、一般外来や病棟、救急当直も多く経験させていただきました。院外、院内両方を経験し、さまざまなコメディカルの方からもご指導いただき、様々な視点から地域医療を体で学ぶことができました。
 強く感じたことは病院で行われる医療、医師が行う医療は、医療全体としてはほんの一部であるということ、医療の中心は「町で生きる患者さん」であるということです。平戸の医療スタッフの方々は誰一人として、患者さんの病気のみを診る人はいませんで、患者さんを「まるごと全部、全身」見ていらっしゃいました。病気だけでなく、患者さんの家庭環境などの背景を完全に把握していらっしゃり、患者さんを総合的に診ることで非常に強い信頼関係が結ばれていました。医師・スタッフが少ない分、外来から入院、その後のケアまで情報共有が密で、一貫した医療が行われています。また、予防、早期発見から、治療、リハビリまで一貫して病院が担って、平戸の命・生活を守るという心意気を強く感じました。研修前は「地域医療」のイメージさえ抱けていませんでしたが、この4週間で患者さん全部を見る、目に見えない背景まで頭に入れた、人対人のやさしい医療を、十分な情報共有のもと医療スタッフ全員で行う医療なのだと感じました。さらに、平戸の方々の穏やかで温かい笑顔、挨拶、感謝や気遣いの言葉を忘れない素敵な「人間味」を4週間の間ずっと感じ続け、社会人としても多くのことを学びました。
 今後少子高齢化、医師不足、医師の偏在、医療資源不足はますます進みます。予防につとめ、患者さんをまるごと見る医療の最先端を行く平戸市民病院の医療をもっと多くの地域に広められればと日本の医療は改善に向かうと思います。これから医師として様々な地域で働くと思いますが、この4週間の経験を大事にし、実践して参ります。
 本当に4週間ありがとうございました。温かく出迎えてくださった住民・患者さん、いつも優しく熱いご指導をくださった先生方、スタッフの方々、病院職員の方、長崎大学スタッフの方々には心から感謝申し上げます。他病院からの研修医とともに勉強できたこともとても良い経験でした。私の人生にとって、とても貴重な財産となりました。ありがとうございました。