岡 ゆりか (医療法人社団 神鋼会神鋼病院)
岡 ゆりか | |
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医療法人社団 神鋼会神鋼病院 平成20年5月19日~平成20年5月30日 (平戸市民病院) |
2週間という短期間でしたが、長崎大学へき地医療機構での研修プログラムをもとに、平戸市民病院で研修する機会をいただきました。
平戸島に到着するまでもかなりの時間を要しましたが、島に入ってからも病院までの距離が非常に遠く、へき地に来たなという実感がありました。
2週間の研修で学んだことについて述べたいと思います。
5月19日 | 5月20日 | 5月21日 | 5月22日 | 5月23日 | |
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午前 | オリエンテーション、検診 | 検診 | 勉強会 | ||
外科外来 | 外科外来 | 大島 (中桶先生) |
内科・小児科外来 | 調先生 外来 | |
午後 | 病棟回診 | レクチャー(訪問) 訪問診療 |
大島 | 訪問診療 | 訪問診療 |
説明会 | 歓迎会 | 帰島 | レクチャー | ||
5月26日 | 5月27日 | 5月28日 | 5月29日 | 5月30日 | |
午前 | 検診 | 検診 | 検診 | 勉強会、検診 | |
内科外来 | 眼科外来 | 救急外来 | 大島診療所 | 整形外来 | |
午後 | 病棟回診 | 手術 | レクチャー 禁煙外来 |
帰島 小児科健診 |
訪問診療 |
説明会 | 出前講座 | 大島へ | レクチャー |
(1) 外来見学
内科(救急外来・禁煙外来も含む)、外科、眼科、整形外科、小児科をみせていただきました。内科・外科では専門はありますが、専門外のことも広く患者さんをフォローしていました。生活背景も知った上で診察し、長期にわたりフォローしているという状態を地域医療と言えると感じました。また、高齢者が非常に多く、生月から通っている患者さんもいました。近くに病院がない場所では外来まで通院するのも労力ですが、病態が悪化したときになかなか受診することができなくなる可能性が大きいことを感じました。
(2) 訪問診療
計4回でした。バリアフリーの自宅で介護を受けている方もいれば、急斜面にたつ家の中で、家の中にも大きな段差があり、これは病院を受診することはなかなかできないであろうと考えさせられる方もいました。へき地では物理的に通院が無理な例が多いことを感じました。訪問診療では、検査は採血しかできないため、どの程度の状態であれば病院受診をすすめるかという基準が非常に難しい、患者数が多いため、月1回の診察でも難しくなってきている、などが印象に残った点でした。
(3) 大島診療所
1週目は中桶先生について出張診療の見学、2週目は一泊で折出先生の診療をみせていただきました。大島は1500人弱の人口のうち、高齢者が40%近くでした。内科・外科を問わず様々な疾患があり、すぐに結果のでる検査が非常に少ないため佐世保などの大きな病院へ搬送が必要と判断する基準が難しいことを感じました。へき地で診療するには勉強して経験を積まなければいけないことを痛感しました。そして、何よりも、へき地医療に従事する人の少なさに驚きました。医師1人、看護師3人という非常に少ない人数で島民の診療を行っています。24時間いつでも対応するという体制にするのはあまりにも医療従事者が少ない状態でした。医師1人で24時間365日対応することを求められる現状に愕然としました。
(4) 検診・健診
平日朝に平戸の事業検診を行っており、実際にエコーなどで検診する機会をいただきました。また、昭和60年頃から行っている健診のお話も聞くことができました。大都市では健診で発病率を低下させることは非常に難しいことです。平戸市でも場所により受診率が異なり、健診を浸透させるには長い時間と努力が必要だったことを伺いました。その一環として出前講座があり、地域の人に少しでも予防医学の大切さに触れてもらう機会を作っていることも地域医療ならではと感じました。
平戸市民病院で研修し、地域に密着した医療の現場をみることができました。他病院まで搬送する必要のある疾患があること、そして訪問診療をはじめ、外来診療や急性期病棟、救急外来、離島診療、手術など非常に多くの地域医療の現場を経験することができました。
これから残りの初期臨床研修、そして3年目以降に少しでもこの経験を役立たせることができるように努力していきます。
2週間の間に地元の方とも交流する機会が何度もあり、たくさんの方にかわいがっていただきました。地域に関わることの楽しさ、自然に囲まれて暮らす楽しさを体感しました。 一方で生まれ育ちが別の場所で新しい地域に本当の意味で馴染むには様々な苦労があるであろうこと、へき地での生活にはたくさんの不便・苦労があることも少しではありますが体感した2週間でした。最後になりましたが、今回この研修の機会を与えてくださった調先生、鈴木先生、そして研修プログラムを組んでくださった中桶先生、平田さん、武岡先生、あたたかく御指導してくださった平戸市民病院の先生方、折出先生、そして看護師さん、スタッフの方々に深くお礼申し上げます。