大清水 みお (独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院)
大清水 みお | |
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独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院 平成27年11月2日~平成27年11月27日 (平戸市民病院) |
平戸市民病院で1か月間研修をさせていただきました。
私は神奈川で生まれ育ち、小学校から大学・就職まですべて神奈川県内でした。1か月もの間地元を離れるのは初めての経験であることに加え、九州に来るのも初めてで、研修が始まる前は不安しかありませんでした。しかし、平戸市民病院では、スタッフの方々に温かく迎え入れていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
最近、医療の細分化が問題視され、総合医の育成が課題となっています。しかし、大小さまざまな医療機関が乱立し、それぞれの分野のスペシャリストが常駐している都市部では、総合医の必要性についてそこまで感じたことはありませんでした。自分自身、救急外来などで、「専門の先生は診てくれないの?」、「○○科があるって聞いたから来たのに、専門の先生じゃないなら帰ります。」など専門家の診察を望む患者さんが多いという現状を見てきました。専門医が診たほうが確実であるし、患者さんもそれを望んでいると思っていました。
しかし、平戸では、外科の先生が高血圧や糖尿病のコントロールをしたり、内科の先生が皮疹や褥瘡を診ているのが日常でした。患者さんも、その先生が何科の先生であるかなど気にせず、なんでも相談していました。自分の専門外の領域だから診れないと言えば、患者さんは何時間もかけて他の病院に行かなければなりません。患者さんも遠くの専門医の診察よりも、かかりつけ医の診察をのぞんでいました。主治医としてその人のすべてを診るということの意味を実感しました。
各分野のスペシャリストというのはとても必要であり、その先生にしか治せない病気、救えない人がいます。しかし、平戸では、そのようなスペシャリストよりも、患者さんのすべてを包括的に診れる医師が必要とされます。難病を治すよりも、その人の背景を理解し、日常生活の不安を取り除くことが必要とされます。働く場所、地域などによって求められる医師像は異なり、そのニーズに応えていくのが、医師としての役割なのだと思いました。これから医師として働いていくうえで、様々な病院で勤務すると思いますが、自分が患者さんから何を求められているのか、自分の役割は何か、常に感じ取れるようになりたいと思います。
この1か月間、驚きや発見の毎日で、とても充実しておりました。ここでの学びを今後に生かしていきたいと思います。最後になりましたが、1か月間ご指導くださった平戸市民病院の方々、地域の方々、本当にありがとうございました。