初期研修医

大石 誠 (長崎大学病院)
大石誠 大石 誠
長崎大学病院
平成27年8月3日~平成27年9月30日
(平戸市民病院)

 私は通常は1ヶ月間のところ、2ヶ月間平戸市民病院で研修をしました。高齢化が進む平戸のような地域には日本の未来の姿があります。そのような目で平戸を見なおしてみると、疾患として今後その治療や進展防止にウエイトをかけるべきものが幾つか挙がりました。その中でも最も重要なのは、認知症ではないかと思います。訪問・外来を問わず認知症の進行により、日常生活や服薬に支障をきたしている場面に幾度も遭遇しました。また、予測不能な行動・言動は介護者や家族を疲れさせていました。治療薬・治療法が更に充実し、多くの老人が認知機能を良好に保てたまま暮らすことができれば、その人や家族に掛かる負担を大幅に減らせると思います。
 今回の研修では生き方についても考えさせられました。医療が進歩した現代において、最後をどう迎えたいかは私を含む全ての人が向き合う問です。平戸で知ったのは、すべての人が、手をつくしても救えないという形で亡くなるのではないということでした。短期の延命は可能であるが、それをするかどうかを本人は決められる状況に無く家族が決断を要請されていました。これは大学や救急病院にいたならばわからなかったことです。現代医療と付き合うにあたって、認知症が激しく進行してしまった場合、脳出血で意識があるかどうかわからない場合などの極限状態も、そうなったときの意思を予め選択しておく必要があると感じました。
 様々な発見と出会いのあった2ヶ月間でした。先生方、事務の方々、医療スタッフの方々に感謝します。