野崎 百合那 (東京大学医学部附属病院)
野崎 百合那 | |
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東京大学医学部附属病院 平成31年3月1日~平成31年3月29日 (平戸市民病院) |
2019年3月に、平戸市民病院で1ヶ月間研修させて頂きました。地元が九州という事もあり、長崎にも多少馴染みがあるつもりでしたが、平戸を訪れたのは人生で初めてでした。平戸市街から車で20-30分かけて到着した平戸市民病院は、初めこそ山奥の寂しい建物に感じられましたが、平日の日中は多くの患者で賑わい、平戸島の中核病院として立派に機能していました。
初期臨床研修の2年間では、市中病院と大学病院での勤務を経験しましたが、平戸の地域医療研修で、全く別形態の医療に触れる事が出来ました。一般診療に加えて、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリといった在宅ケアを含めた包括的医療を経験しましたが、特に訪問診療では、決して満足とは言えない環境で暮らす人々への関わり方に戸惑い、医療のあり方を改めて考えさせられました。機構長や院長の講義でも触れられていましたが、僻地医療では医療資源も豊富にない事情もあって、予防医学が特段に重要であり、健康寿命の重要性に先駆けて取り組んで来た平戸市民病院の理念に感銘を受けました。平戸は来たる超高齢者社会の縮図にも見え、押淵院長が長年取り組まれてきた「元気老人の創出」というテーマは、高齢化が進む現代社会のあるべき姿を体現していると感じました。
病棟・外来共に、都心部の病院では中々見られない親しみやすい診療現場であり、古き良き患者–医師関係に度々心が温まりました。また、限られた資源を最大限に活用するため、スタッフ間の円滑な協力関係も印象的でした。学生時代から、総合診療をテーマとした勉強会に参加する機会がありましたが、地域医療では、まさに総合医としての能力が主に求められていました。研修中外来を担当させて頂く機会がありましたが、まだ医師として未熟な自分を思い知りながらも、地元の温かい人柄に触れて、医師としての責任とやりがいを再確認することが出来ました。全ての医師はGeneralistであるべきであり、今後もその精神を忘れずに精進したいと思います。
この1ヶ月は、今後の医師人生における大きな財産となりました。最後になりましたが、平戸市民病院のスタッフの皆様、平戸市民の皆様に深く感謝申し上げます。