初期研修医

中村 亮太 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)
中村亮太 中村 亮太
独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター
令和2年2月3日~令和2年2月28日
(平戸市民病院)

 2020年2月の1カ月間、平戸市民病院で研修をさせていただきました。基幹病院のプログラムでは、長崎・京都の関連病院の中から、自分で地域医療研修の場を選択でき、楽しそうに研修されている様子を拝見し、半分旅行気分で市民病院での研修を決めました。平戸に初めて訪れた際の晴天の中、平戸大橋から見える青い海はとても素晴らしく印象的でした。
 「医療資源が十分にはない場所(病院外・離島)での診療」、「医療機関と在宅の連携」について学びたいと考え、地域医療研修にのぞみました。前者について、訪問診療では、患者の自宅に訪問するため、病院とは異なった普段の生活環境での姿に接することができました。同居家族がいて介護も手厚く元気に過ごしている方もいれば、山奥に住んでいる足の悪い高齢夫婦・薬を自分ではうまく処方通りに飲めず困っている方など、診察室で自分が想像できていなかった状況がありました。病気に対するアセスメントにばかり注意を向けるのではなく、患者本人の心理的・社会的配慮しながら、医療を行う重要性を改めて痛感しました。また、訪問診療では聴診器だけ、離島では限られた医療資源の中で、自分の五感をしっかりと使いながら診療することで、身体診察の重要性を再認識し、日頃からの生活指導を含め予防をしっかりと行っていくことが大切だと考えました。後者について、私は基幹病院では病院での診療が主となり、診察室以外の患者の生活状態などについて触れることはほとんどありませんでした。介護をするご家族、施設の方、ケアマネージャーなど普段の患者の状態を知っている方と、医療機関の間に、訪問診療医、訪問看護、訪問リハビリなど定期的に訪問する医療関係者が入ることで、重症化する前に対処を行うことや、診察だけではわからない社会背景などがわかりそこに介入することなど、より良い医療を提供する過程を実際に体験できました。改めて医師だけではなく、患者を中心としてその周りにいる全ての人を巻き込んだ医療が大切なのだと感じました。
 平戸市民病院・そのほか医療関係者を含め、平戸市の方々に温かく・親切にしていただき大変充実した研修ができました。1ヶ月と大変短い期間でしたが、基幹病院ではできないかけがえのない経験でした。今後の医師人生に活かし、微力ながら少しでも多くの方々が笑顔で生活ができるようお手伝いできればと考えております。この場をお借りし、改めて心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。