初期研修医

三好 悠太郎 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
三好悠太郎 三好 悠太郎
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
平成29年9月19日~平成29年9月29日
(平戸市民病院)

 2017年9月19日、僕は平戸での研修を開始した。1週目は慣れない環境や雨続きの平戸の天気に体力を削られ、一日一日が過ぎるのが非常に長く感じ、とにかく早く帰りたいと思った。しかし徐々に平戸に慣れてきた2週目はあっという間に過ぎ去り、やや病院の人々と打ち解けてきた頃に平戸を去ることになり、意外にも非常に寂しい思いであった。
 やはり平戸での研修で印象的であったのは、訪問診療である。とんでもない山道やトラップのような悪路を車で抜けた先にポツンと1軒だけ建っている家。そしてその中で暮らしている90代の老夫婦。寝たきりのおばあちゃんの周りに飛んでいる何匹ものハエ‥。そのような光景を目の当たりにして、訪問診療の意義を感じるとともにその限界も実感した。僕は神戸市内の訪問看護やデイサービスも経験する機会があったが、それに比べてもより住居環境が劣悪である印象であり、地方社会の超高齢化と利便性の悪さの実態を痛感した。また、これから日本全国でそのような家が激増していくことを予想すると、恐ろしい思いであった。
 また、通常の病院業務では普段見ることのないような症例も経験できた。当直中の深夜にクラゲに刺されて全身の痺れ感を訴える人が来た時には、何をすれば良いのか全く分からず途方に暮れてしまった。しかし後日上級医の先生方に教えて頂いたり、自分で発表にまとめることで、未知の病気への理解を深めることができた。
 そして、平戸は非常に良いところであった。仕事終わりに食べに行った寿司や漬け丼の味は格別であったし、川内峠から見る夕陽や生月島の犬バエ灯台からの海の景色は絶景であり、本当に心が洗われた。市街地まで30分の夜道のドライブも、今となっては良い思い出である。
 最後になりましたが、院長先生・中桶先生をはじめお世話になった先生方、度島さん、外来・病棟・訪問診療の看護師さん、放射線・検査技師さん、薬剤師さん、PTさん等、親切にしてくださった病院の方々、ありがとうございました。そして何より一緒に研修し、毎日一緒に晩御飯を食べ、長崎旅行を楽しんだ同期の2人に御礼を言いたいです。
 また機会があればぜひ平戸に来たいと思います。ありがとうございました!