初期研修医

都 史哉 (社会医療法人 神鋼記念会 神鋼記念病院)
都 史哉 都 史哉
社会医療法人 神鋼記念会 神鋼記念病院
令和2年11月30日~令和2年12月25日
(平戸市民病院)

 平戸市民病院での地域医療研修では、私が所属している病院では経験できないことを多く学ばせていただいた。
 訪問リハビリテーションではALSで呼吸器麻痺を来し、人工呼吸器を装着しながら、在宅で生活をされている患者様のもとへ訪問させていただいた。救急車も家の前までたどりつけないような細い道の先に住んでおられ、台風の時などは病院に避難するとお聞きした。配偶者の方の手慣れた介護の様子も印象に残っている。
 訪問看護では患者様をじっくりと時間をかけて診察したり、お話を聞いたりと丁寧に様子を観察されていた。病院に頻繁に通えない分、訪問時の診察が大切だと感じた。
 特別養護老人ホームや患者様の家へ訪問診療に行ったり、病院を離れて医療を行うことも初めてだったため、戸惑うところもあったがよい経験となった。
 さらに病院では内科外来を主に見学させていただいた。内科といっても、転倒し腰を打撲した高齢者など外科に分類されそうな症例も少なくない数が受診され、驚いた。専門ではないからわからないなどと言っていられない状況で先生方が冷静に対応されている姿を見て尊敬の念を覚えた。
 また、強く印象に残っているのはアラ鍋や牡丹鍋といった地域独特の料理を食べさせていただいたことだ。すべての料理がとてもおいしく、また地元の酒もとてもおいしかった。非常に思い出深い会となった。
 今回の地域医療研修を通じて感じたことは、平戸に住んでいる方は患者様、医療従事者問わず、平戸という場所に対して強い愛着を持っているということだ。先祖代々の土地や家への愛着、平戸の歴史への愛着など様々な思いを至るところで強く感じた。私個人の価値観では医療資源や、利便性の点でいえば都会に及ばない部分も多いと感じたが、そんなことは平戸の方々はほとんど気にも留めていないようだった。
 そんな地域での医療だからこそ、在宅医療を行ったり、健康増進活動を行ったり、できるだけ長く家で過ごせるように医療側からできることを積極的に行っておられるのだと気づかされた。
 今回の地域医療研修ではこれまで考えたことのなかった事柄について、多くの気づきを得ることができた。貴重な機会を下さり、やさしく導いてくださった平戸市民病院の先生方をはじめ、スタッフの方々に大変感謝しております。この経験を生かして今後の医師人生をより良いものにできるよう、日々精進していく所存です。
 この度はありがとうございました。