宮川 理華子 (独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院)
宮川 理華子 | |
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独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院 平成25年6月3日~平成25年6月28日 (平戸市民病院) |
梅雨時期にも関わらず天候に恵まれた6月、平戸市民病院で地域医療研修をさせていただきました。東北出身、大学も北海道と北国育ちの私にとって、平戸での地域医療研修は毎日新しい発見があり、故郷の医療に関しても考える良い機会となりました。こちらに書ききれないくらいのたくさんの経験をさせていただきましたが、特に印象に残った点は、在宅医療の重要性、予防医学の重要性です。
訪問診療・看護・リハビリ、ケアマネージャーのモニタリング等、在宅医療を実際に体験し、患者さんの生活背景を見ることで、診察室で接するだけでは得られない情報がたくさんあることを学びました。平戸は起伏に富んだ地形で、公共交通機関も少ないため普段の生活でも不便なことが多く、高齢者のみの家庭において定期的な通院がいかに困難かということを目の当たりにしました。現在日本の高齢化率25%を超え、今後都市部においても急激に進行することが予測されており、こういった問題は地方だけのものではありません。高齢者のみの世帯が地方と比較し都市部に多い傾向をふまえると、今後は都市部においてこそ在宅医療が重要となってくるのではないかと感じました。
また、高齢化が早くから進んでいた平戸市では、出前講座、健診などの予防医学に力を入れた結果、医療費削減、介護認定率低下を実現しており、医学において予防がいかに大切かということを肌で感じました。病気を発症する前の段階で医療者が介入できるポイントがいくつもあったことは自分にとって大きな発見でした。
地方で育った自分にとって、地域医療は決して遠い存在ではありませんでしたが、他の地域における医療を実際に経験させていただいたことで、気候や交通条件が生活に与える影響を改めて感じ、それを踏まえた上で地域ごとに必要とされる医療を提供していくこと、またそれを実現するためには住民の協力が不可欠であり地域全体で作っていくものだということを学びました。こういったことは同じ地域にずっといたのでは決して気づけなかったことだと思います。
一か月という短い期間でしたが、本当にたくさんの方々にお世話になりました。病院スタッフの皆様、平戸市民の皆様に心より感謝申し上げます。