三澤 将大 (医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター)
三澤 将大 | |
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医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター 平成28年7月4日~平成28年7月29日 (平戸市民病院) |
梅雨明けとともに海開きとなった7月、平戸のベストシーズンに一ヶ月間の研修をさせていただきました。美しい教会や歴史ある街並み、cobalt blueの海、天空の夜空には天の川が見え、すべてが輝いていました。
平戸の真ん中の田んぼに囲まれた平戸市民病院ではそこに住む人々の生活に密着したへき地医療が実践されていました。医師は患者さんの家族関係から住む家の構造、生活習慣をよく把握しており、そこから患者さんに起こりうる怪我や病気のリスクを想定し、先手を打つ診療には『なるほど!』と思わされました。例えば転倒を回避するためにお盆の時期には仏壇の掃除などで足台に載ってはいけませんと注意を促し、暑い時期を迎えた畑仕事ではよく汗をかくため夏季は利尿薬の量を調整するなど、一人一人の生活に合わせた注意や処方を行っていました。また、患者さん本人のみならず介護をする家族への配慮も忘れず、熱心に介護をしている家族を褒め、介護をする側もしてもらう側も互いの気持ちを理解し合い、良好な関係を気づいていけるよう医師が間に入る気配りも素晴らしかったです。フランシスコ・ザビエルの蒔いた小さな種から平戸に広まったキリスト教の文化は今でも深く根付いています。普段病院では亡くなった後で葬儀屋を呼びお見送りをすることが多いですが、平戸ではキリシタンの患者さんの際には亡くなる前に神父さんを呼び、祈りを捧げるそうです。人々の文化にも理解を示す心温まる診療に感銘するとともに、へき地と言われる平戸の医療から学ぶことはとても多かったです。平戸で学んだことの一つ一つが忙しい日々を送っていても一人の患者さんを診るときに忘れてはいけないとても大切なことだと思います。
また、一ヶ月の研修を通して、へき地医療が抱える問題を考える機会にもなりました。一ヶ月で感じたことは人口当たりの医師数や病床数、医師の偏在などよりも交通の不便さにより医療機関を受診することが困難な状況が一番の問題ではないかとおもいます。もともと東京で育った私ですが将来短期間であれ、へき地医療にたずさわる機会を再びもてたらと思います。
最後にお世話になった先生方、一緒に研修をした研修医の友達、事務の方、看護師さん、技師さん、そして患者さん、一ヶ月間とても貴重な経験をさせていただきありがとうございました。皆様と出会えてとてもよかったです。