目時 嵩也 (独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター)
目時 嵩也 | |
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独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 平成26年9月1日~平成26年9月26日 (平戸市民病院) |
とても楽しみにしていた地域医療実習でしたが、あっという間の1ヶ月が過ぎてしまいました。そもそも、私が今回平戸市民病院にお世話になる事になったきっかけは、2年前の2010年8月に遡ります。当時大学6年生でしたが、友人に誘われて、平戸市民病院で毎年開催されている、地域医療の夏合宿に参加させていただいたのです。この合宿が楽しく充実していて、また機会があればここに来ようと思っていたのが、2年越しで希望が叶ったのです。
今回の研修は、訪問診療/看護/リハ、離島実習、出前講座、乳児健診といった病院の外に足を運ぶものから、健診(腹部エコー)、外来、病棟、放射線実習、内視鏡実習、出前講座、種々の講義・・など、まさに盛りだくさんの内容でした。その中で、私が強く感じたのは、今後の医療のあり方についてです。昔の医療は、病気を治す事が中心でした。しかし、患者さんは病気が治ったらそれで終わり、ではありません。病気が治って元の場所に帰ってからの生活にも、あるいは病気を予防する事にも目を向けることが必要です。このことは、出前講座や健診、訪問をさせていただいて体で実感する事ができました。これを院長先生は病院完結型医療から地域完結型医療へ、と表現されていました。従来は、医師が中心となって(トップとなって)いましたが、地域完結型の医療を実践するには、医師一人ではどうにもなりません。多職種連携、もっと言えば出前講座に象徴されるような、地域住民との双方向の関係が必要です。また、平戸に来るまで勘違いしていたのですが、地域医療とは、何も田舎やへき地に限ったことではありません。東京も大阪も、あるいは私の出身地の宮城も地域であって、その地域にとって必要な医療ないしは保健や介護なども含めて、「地域」医療というのだということを、ここにきて初めて自分なりに感じる事ができました。平戸では、地域に寄り添う医療が実践されていて、それはまさに自分にとっての理想の医師像であると感じました。
平戸にいる間は医療だけでなく、風光明媚なこの地を放浪させていただきました。根獅子浜、生月、薄香(「あなたへ」のロケ地)、各地の教会の観光や、海の幸、平戸牛、長崎ちゃんぽん、あご君等、おいしいものもたくさんいただきました。また、志々伎山登山や病院周辺のランニングもしました。体を動かす事で、よりいっそうその地の一部になれたような感覚に包まれました。
元々、ゆかりのなかった平戸ですが、縁あってお世話になる事となりました。ここで経験した事は、今後の自分の医師生活にとって非常に貴重なものだと思います。暖かく迎えていただいた、病院スタッフの方々や地域住民の方々には、言葉では言い表せないほど感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。