初期研修医

黒澤 修兵 (横浜市立市民病院)
黒澤修兵 黒澤 修兵
横浜市立市民病院
平成25年5月7日~平成25年5月31日
(平戸市民病院)

 私は新緑もみなぎり梅雨入りも始まった5月、平戸市民病院で1ヶ月間研修をさせていただきました。短い間でしたがとても充実した日々を送ることができました。
 今回の地域医療研修では普段の研修では経験することのない訪問診療や検診、出前講座など地域医療特有の業務を多く体験させていただきました。そういった中で、地域医療とは都市部以上に患者の家庭環境や社会的背景を考慮したオーダーメードな医療を提供していること、住民全体を巻き込んで一次予防から治療後のリハビリテーションまで包括的なケアを行っていること、医療だけでなく介護や福祉の観点から病気の時もそうでないときも継続的にサポートしていること、職種間や病院間で上手に連携をとり皆が地域住民の安心という一つの目標に向かっていること、そして何より地域住民にとって病院が非常に身近な存在であると気付くことができました。
 私が普段いる病院は600床を超える規模の急性期病院であり、ある程度は仕方ないのかもしれないのですが、多少なりとも人より症例を見てしまう傾向にあると思います。今回の地域医療研修では、人間、環境、すべてをみるような医師の視点が得られたのではないかと感じています。そして地域医療はすべての医療の原点であって、すなわち今回学んだ事はすべて都市部の医療にも応用することができると考えます。平戸市民病院で学んだことを普段働いている病院でも活かしていきたいと思います。
 今回の地域医療研修で多くのことを学ぶことができましたが、全ては平戸市民病院のスタッフの方々の尽力や地域住民の方々の御好意があったからこそ得られたものであります。指導医の中桶先生をはじめ先生方はどんな些細な場面でも私が何かしら学ぶことができるように常に気にかけて指導してくださいました。コメディカルの方々も職業関係なく優しく接してくださり、困ったことがあっても気軽に相談ができました。事務担当の度島さんは私が居心地良く研修ができるように仕事面から生活面までありとあらゆる場面で手厚くサポートしてくださいました。そして地域住民の方々は違う土地から来た私に対して「どこから来たの?」と話しかけてくれたり、診療のたびにおすそわけを頂いたりお茶を御馳走になったり、都市部ではみられない表裏のない人と人との距離の近さを感じることができました。患者に学ぶとよく言われるように、地域住民の方との交流を通じて、医療とは人と人との信頼関係の上に成り立つものだと、そしてそれはちょっとした挨拶や些細なやり取りに思いやりをこめることから始まるものだと、当たり前のことですが今回改めて実感することができました。
 1か月間と短い間でしたが、大変貴重な経験となり、穏やかな日々を過ごすことができました。平戸市民病院のスタッフと地域住民の方々に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。