初期研修医

國重 連 (医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター)
國重 連 國重 連
医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター
令和元年7月1日~令和元年7月31日
(平戸市民病院)

 私は恥ずかしながら平戸という地名を聞いた事しかなく、長崎県のどこにあるかも理解していませんでした。埼玉県の大宮からやってきて、平戸島に到着した時にはすっかり日も暮れており、平戸大橋を渡り市街地を抜けてしまうと街灯もなく、「どんな場所に一体病院はあるんだ」と不安になりながら車を走らせたのも今となってはいい思い出です。
 4週間研修をして一番思ったことは、環境が変わるとここまで医療も変わるのかということです。自分の研修病院であればどんなに夜遅くに来られても、入院の必要がないと判断されれば自力でタクシーなど利用して帰宅してもらうことがほとんどですが、こちらでは帰る手段がないため一泊するなんてことは日常茶飯事です。
 一番印象に残ったエピソードは、昨晩の救急外来の症例を振り返る毎朝のカンファレンスでの出来事です。自分が担当した患者さんのカルテに『飲酒:機会飲酒』と記載していた事に対して「この人機会飲酒なわけないよ、俺が居酒屋に飲み行ったらいっつもおるもん」と突っ込まれました。先生方はほとんどの患者さんの職業や家族構成を把握しており、朝のカンファでは「あそこの○○さん、また来たとよ〜」「○○さんに聞いたけど今年はイカがよく取れるらしいね〜」「○○さんまたマムシに噛まれたんか、この前も来たよ」と言った会話が飛び交います。逆にここまで患者さんのプライベートに介入しないと、僻地での医療はやっていけないのかもしれません。
 そういった意味で、患者さんの生活環境を知るために訪問診療、訪問看護、訪問リハは欠かせません。今まで訪問診療とは『病院に来ることができない患者さんを自宅にいって診療する。』とだけ理解していました。もちろんそれが訪問診療なのですが、患者さんの生活環境や家族構成などの情報を実際に足を運んで得るというもう一つの大きな役割を果たしている事に気づきました。これは普段の研修先の病院では経験することのできない体験だったので非常に勉強になりました。
 病院内でも普段ではできないことをたくさん経験できました。特にレントゲンやCTの撮影を自分で行うというのは初めての経験で、実際に当直帯の患者さんを看護師さんと一緒に試行錯誤しながらレントゲン撮影したことはいい思い出です。
 土日には九州各地を巡りました。別府、天草、阿蘇、桜島など九州全県を周ることができ大満足です。梅雨と時期が被ってしまい、外に出られずもどかしい日も多かったですが休日はリフレッシュすることができました。高校の先輩でもある中桶先生と峠を攻めて牧のうどんを食べに行ったことも忘れないと思います笑。
 4週間という時間はあっという間でした。とても楽しい1ヶ月で本当に平戸に来て良かったです。温かく迎えてくださった平戸市民病院の皆様には感謝しかありません。ありがとうございました!