初期研修医

小出 明妃 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院)
小出明妃 小出 明妃
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 済生会長崎病院
令和2年3月2日~令和2年3月27日
(平戸市民病院)

 3月の1ヶ月間、平戸市民病院で地域医療研修をさせていただきました。
 平戸市民病院に来るのは、去年の夏のサマーキャンプ以来、2度目です。その際は、平戸が実は島であるということを長崎県民ながら初めて知り、驚きました。今回は、前回と違い自身の運転で平戸大橋を渡り、平戸の中心地から30分程度走って平戸市民病院に到着しました。そのおかげで、平戸市民病院が、医療を担う地域の広さを体感することができました。私の祖父母は五島に住んでおり、母の里帰りで五島にはしょっちゅう行っていたため、平戸ののどかな風景自体は私にとってはそんなに物珍しいものではなく、どこか懐かしいとさえ感じられました。
 内科外来や当直では、小児や超軽症患者を診ることも多く、普段自分の研修病院では経験しない患者層を診ることができました。また、技師さんが自宅待機なので、自身でX線やCTを撮影する機会もありました。指導医の先生方のジェネラルな診療を見させて頂いて、本当に勉強になりました。
 訪問看護や訪問診療の現場では、患者自身で病院まで通院するのが難しい現状を目の当たりにしました。多くの孫に囲まれ、リフォームした明るいバリアフリーの家で過ごされている方もいれば、日当たりが悪く暗いごちゃっとした家で過ごされ去り際に涙を流される方もいらっしゃり、人と関わる時間が少なく寂しい思いをしている人もいるのだと感じました。その点で、病院という場所は単に医療機関という役割だけではなく、人が集まるコミュニティとしての役割も果たしているのだと思います。
 訪問診療などで患者のテリトリーでたくさんお話をすることによって、患者がいつもよりも身近に感じられたような気がします。医療者からしたら数多くいる患者の一人かもしれませんが、患者からすれば自分の大事な身体を診てくれる一人の医療者であることを忘れずにこの先の医療を行なっていきたいと思います。