初期研修医

泉 陽彦 (横浜市立市民病院)
泉 陽彦 泉 陽彦
横浜市立市民病院
平成30年5月7日~平成30年6月1日
(平戸市民病院)

 平戸市民病院で1ヶ月間研修をさせていただきました。
 初日に地域医療とは田舎や僻地で行う医療をいうのでなく、あくまでその土地・地域に根ざした医療を行うことだというお話を頂き、その言葉を意識しながら研修を送る1ヶ月となりました。
 平戸市は都市部に比べると少子高齢社会が進み日本全体での20年後の人口モデルを先取りしているとのことでした。平戸市民病院は平戸中南部地域を主な医療圏としており北部まで含めると40km圏とかなり広範囲を担う中核病院であり、土地もアップダウンが多く交通機関は自動車かバスに頼らざるを得ないという特徴がありました。医療資源が必要となる患者さんは高齢独居や高齢夫婦が多いため頻繁な受診は難しいケースもあり患者さんのバックグラウンドを考慮した医療介入が望まれ、そのためには必然と地域包括ケアという考え・概念が必須になるということが分かりました。
 実際に担当させて頂いた患者さんは、医学的には退院できるがこのまま家には帰せないだろうといったケースも多く、看護師や理学療法士、ケアマネージャー達と相談しがら、介護申請を行い介護資源を導入すれば帰れるだろうといったことや、もう少し歩行が安定して出来れば今の家でもそのままで帰れるだろうといったことを話し合いながら、総合的に進められたのが大変貴重な経験となりました。また、実際に訪問診療を行ってみて患者さんにとって医療はあくまで生活の一部に過ぎないということを実感するとともに、患者さんの家庭環境を考えながら限られた条件の中で診療を行うことの楽しさ、難しさを肌で感じられました。
 1ヶ月を通して地域の特色に合わせた医療や多職種の様々な視点に触れることができ、平戸における地域医療の一端を垣間見ることができたかなと思っています。そして何より先生方を中心としたスタッフの方々の熱い気持ちに触れられ、将来の医療を担うものとして尽力して参りたいと改めて感じることができました。この研修で学んだことを活かし研鑽を積んでいきたいと思います。お忙しい中でも温かく受け入れてくださった関係者の皆さま、そして患者さまに心より感謝いたします。本当にありがとうございました。