初期研修医

春野 綾子 (医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター)
春野綾子 春野 綾子
医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター
令和3年2月1日~令和3年2月26日
(平戸市民病院)

 2021年2月、冬の平戸で1か月間研修いたしました。まず初めに、新型コロナウイルスが流行し緊急事態宣言が出ている真っ只中、関東からの研修医を受け入れて下さり、本当にありがとうございました。受け入れに際し、お手数をお掛けしたと思います。訪問看護や離島研修の中止など、元々用意されていた全てのスケジュールを体験できなかったことは残念ですが、その分平戸市民病院の中で多くの体験が出来ました。その中でも特に印象に残った内容をお伝えします。
 今では予防医学、健診は当たり前の概念ですが、平戸が他地域と比較して高齢化率が高い事、1次産業で稼いでいる大黒柱が心筋梗塞や脳出血などで突然倒れると一家が悲惨な経過を辿ること、今後の平戸の未来のために健康老人を増やす必要があることを、押淵院長は30年前に気付かれ住民健診を始めたと伺いました。健診への理解が少ない時代であり、病院内外から批判があったと聞いています。そのような状況下でも、リハビリの大石PTをはじめとする理解のあるスタッフ達と、休みの時間を使って生活習慣病の予防法や健診結果のフィードバックを住民達に行い続けたそうです。その結果、平戸市民病院で健診を受けていた地域と受けていない地域を比較すると、死亡率や要介護度の高い高齢者の割合が明らかに低いということが現在分かっています。患者さんの疾患だけでなく生活まで理解することで、根本的な解決法を編み出すことが出来るということを学びました。実際に先生方の外来を見学すると、体調だけでなく最近の仕事の様子、家族はどうしているか、最近の美味しいものなど、様々な話に花を咲かせています。一見するとただの雑談に見えますが、そこからぽろりと出た患者さんの本音や希望を拾い、医療的に還元している場面が何度もありました。患者さんについて深く理解することでより良い医療を提供できること、その結果を自分で確認出来ることが地域医療の醍醐味だと思います。
 最後になりますが、いつも研修医のことを気にかけて下さった中桶先生、度島さんには本当にお世話になりました。外来ではどの先生方も研修医に親しく話しかけ、ご指導して下さり、のびのびと学ぶことが出来ました。景色も食べ物も素敵な平戸にまた伺います。