初期研修医

原田 崇史 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
原田崇史 原田 崇史
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
平成30年9月18日~平成30年9月28日
(平戸市民病院)

 9月の下旬に、平戸市民病院で2週間の研修をさせていただきました。神戸で育ち大阪の大学に通っていた自分にとって平戸での生活は全く想像ができず、車が無くても生活できるのかという不安がありました。しかし実際に行ってみると、徒歩圏内にコンビニ、スーパー、鮮魚店、精肉店など揃っていましたし、バスで30分ぐらいのところに美味しい店がたくさんあり、充実した食生活を送ることができました。肉も野菜も海鮮もお菓子も、どれをとっても美味しかったです。また、平戸の方々はよそ者である自分に対してとても温かく接してくださり、非常に過ごしやすい2週間でした。
 9月の上旬に神戸で開業医の先生方について外来を見学しましたが、平戸での外来はそれとは異なり、診察内容は診療科に縛られないものでした。患者さんが抱えている体の不調や不安に思っていることを詳しく聞き出し、ひとつひとつ対処していくというもので、血圧が高い、腰が痛い、熱が出た、動悸がする、など患者さんの悩みは複数かつ多岐にわたるため、幅広い臨床知識が求められることを実感しました。来年度から専攻医になるため、専門的な外来が中心となると思いますが、1人の医者である以上、目の前の患者さんの様々な主訴に対して幅広く対応できるようになるべきだと学びました。
 また、訪問診療に行かせていただいた中で最も記憶に残ったのは、お世話をしてくれる家族が同居している、もしくは近くに住んでいながら十分な介護を受けられていない方々がいたことです。日中独居であることや家族間のトラブルからそのような介護状態に陥っているという現実を知り、患者さんの家族関係にまでは今まで考えが至っていなかったことに気付かされました。同居者がいる、近所に家族が住んでいる、という事実だけでは実生活の表面しか見えていないのだと思います。平戸では日中に離れたところまで出稼ぎに行く人が多いという話を聞き納得しましたが、よく考えるとこれは長崎だけでなく、核家族化や非婚者の増加などの社会的な要因も絡んだ日本全体における問題とも言えると思います。この先、都市部で働くことになっても地域での訪問診療で学んだことは必ず活かせると思うので、貴重な体験をさせていただいたのだという思いが湧いてきました。
 最後になりましたが、指導してくださった先生方やスタッフの方々に心から感謝致します、ありがとうございました。