濱田 江里奈 (横浜市立市民病院)
濱田 江里奈 | |
---|---|
横浜市立市民病院 令和元年5月7日~令和元年5月31日 (平戸市民病院) |
2019年5月、爽やかな気候のなか平戸市民病院で研修をさせて頂きました。横浜から約8時間かけてたどり着いた平戸ではバスを乗るのにICカードが使えず、コンビニも見当たらず、不安になったのを覚えています。一方で、病院へ向かうバスからこれまで見たことないほど美しい海岸をみて、初めての土地での研修に期待が高まりました。
平戸市民病院では健診、外来見学、訪問診療や訪問看護など、様々な地域医療の現場に立ち会いました。外来見学では、先生方が何気ない会話から患者が元気かどうかを把握し、時には自分の専門分野を超えて診療にあたっておられるのが印象的でした。また、外来で診た患者が入院となった際には、主治医として担当させて頂きました。患者にとって最適な治療方法を選択し、生活環境や家族背景、ADLを考えながら退院のタイミングを図っていく過程は思っていた以上に複雑でした。自分の経験不足を痛感しながらも、上級医の先生、看護師や理学療法士など多職種の方々と診療に携わる過程は大変勉強になりました。そのほか、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリでは、医療者と患者との病院の敷地を超えた信頼関係を肌で感じました。スタッフの方と患者や家族が密にコミュニケーションを取っていて、医療が患者の生活の中に自然な形で組み込まれている様子がうかがえました。平戸市民病院では患者の名前をいえば「あ、○○さんね」とスタッフ全員が認識しています。こうした病院内外問わず、単に病気を治すためだけでなく患者の生活を支えるための医療が実現されているのだと実感しました。
業務以外にも、世界遺産に登録された春日集落をはじめ、様々な観光地を訪れ、平戸の歴史や文化に親しむことができました。また、新鮮なお刺身を頂いたり、同期と美味しいお店に食べに行ったりするなど、食事にも大変恵まれました。
平戸市民病院で数多くの貴重な経験をさせて頂き、実りある1か月を過ごすことができました。患者思いで熱心なスタッフの方々と出会い、医師としてどうありたいかを考えさせられた期間でもありました。支えてくださった皆様方、一緒に過ごした同期に感謝の気持ちでいっぱいです。将来どの診療科に進むにしても、総合的な視点を持ち、目の前の患者さんだけでなく背景にある生活や家族のことを考えて診療する姿勢でありたいと思います。