初期研修医

土井 祐介 (長崎大学病院)
土井祐介 土井 祐介
長崎大学病院
平成25年6月3日~平成25年8月30日
(平戸市民病院)

 初期研修医としては初めて、平戸市民病院に3ヶ月間お世話になりました。
これまで研修を行ってきた大学病院では経験することのできない地域医療研修ならではのプログラムを数多く体験でき大変勉強になりました。特に、今後の医療のあり方に至るまで深く考えるきっかけとなったものは「健診」や「訪問診療」、「出前講座」といった健康増進・疾病予防に関係する取組みでした。
 平戸市民病院では平戸中部・南部地区において来るべき高齢化を見越して早くから健診事業やリハビリテーション、在宅ケアなどに取り組んできており、その結果”高齢者医療費の適正化、介護保険料の適正化(長崎県下19市町のうち18番目の低い保険料)を実現”(院長あいさつより)しています。このことは予防医学がいかに重要であるかを物語っており、今後の超高齢化社会で最も必要なものの一つであると改めて認識させられました。
 その一方で、平戸市の平均寿命は男性78.6歳(県下ワースト6位)、女性85.9歳(同4位)(平成22年市区町村別生命表より)と下から数えたほうが早い状況であることも事実で、健康な地域づくりのためにはもう一歩何か必要であると感じました。
 実際に「健診」や「訪問診療」、「出前講座」に携わった印象では、このような取組みに参加される住民の方々は高齢者の方が多かったことから、必要なのは高齢になる前のできるだけ早期からの住民アプローチではないかと考えました。良い具体案は漠然として未だ掴みきれていないというのが本当のところですが、平戸で色々考えたことを今後に活かしていけたらと思います。
 その他の点では、3ヶ月にわたって外来や訪問診療など患者さんにより近いレベルで診療することの楽しさを体験できたことも大きな収穫でした。
 大学病院のような急性期病院ではともすれば「病気」だけを診がちですが、地域の病院では患者さん個人を、場合によっては家族を含めた家庭のことをも念頭に置いた医療が必要であることを実感しました。もちろん知らなかったわけではありませんが、身をもって体験し感じたことを今後も忘れることなく医療に携わっていこうと思います。
 平戸市民病院での研修期間中は、沢山の方々にお世話になりました。いろいろと至らぬ点もあったかと思いますが3ヶ月間本当にありがとうございました。
 病院スタッフ・へき地機構の皆さま、平戸市民の皆さまに心より感謝申し上げます。