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2005.12.10 |
| カナダのトロント大学へ家庭医制度・へき地
医療の視察へ行って来ました。(平成17年12月11日〜16日) |
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調教授と私は、平成17年(2005年)12月11 日〜16日にかけ、カナダのトロント大学へ家庭医制度・へき地医療の視察へ行って来ました。カナダは広大な国土の多くの部分が都市部から離れたへき地であるためへき地での医療を積極的に展開しており、また初期医療を担当する家庭医(Family
Medicine)と呼ばれる総合医の育成に力を注いでいるのです。トロント大学はカナダの家庭医育成、へき地医療とその担い手の教育の中心的な存在です。

▲雪景色のトロント大学キャンパス。気温は−10℃位。
我々は途中、ニューヨークで乗り継ぎのための宿泊を含め長崎から約40時間かけてカナダのトロントに到着しました。この冬最大の寒気団と共にトロントに到着した我々を濱田先生(国立病院機構長崎医療センター)、山本先生(長崎大学医学部腫瘍医学)が出迎えてくれました。濱田先生はカナダのトロント大学で卒後の臨床教育について勉強をされており、今回のカナダ訪問に大変ご尽力してくださいました。中東料理とカナダビール、そしてオンタリオ名産のアイスワインで再会を祝いました。
翌日は午前8時から濱田先生のご案内で分刻みのスケジュールがスタートしました。まずトロント大学のバティー教授にカナダの家庭医制度と卒後の臨床研修についてお話を伺いました。カナダの医療体制は初期治療を担当する家庭医(総合医)と専門医とに分かれおり、卒業生の多くは家庭医として2年間の研修プログラムに参加するそうです。家庭医の診療範囲は内科・小児科・外科・外傷・救急、さらには産科もカバーします。また、カナダのプライマリーケアは初期治療のみならず適正な医療を受けられるように専門医とのコラボレーションを行うことや社会復帰のためのリハビリテーションも含まれており、これらを実行するのが家庭医の役割なのだそうです。私
は初期の治療がプライマリーケアと信じていましたが、社会復帰まで範疇にはいっているのに驚きました。近年カナダ政府はプライマリーケアに力を入れており、それを担う家庭医の育成にも力を入れているそうです。現在、カナダの医学部卒業生の約35%が家庭医学を専門とする医師になるそうですが、カナダ全域をカバーするために
は、卒業生の50%に家庭医になってもらうようにしていくそうです。
卒後研修には研修担当の専任スタッフが常時研修内容や研修医の評価についてチェックを行っているそうです。
続いてはスキルラボ(Skill Lab.)と呼ばれる研修施設の見学をしました。ここはモデルを用いた手術・手技の練習施設で。経験が必要な外科の分野で、モデル用いたシミュレーションを繰り返すことで、実地よりも安全に経験を積むことが目的だそうです。この施設は臨床研修のみならず、手術前のリハーサル等にも活用されているそうです。また、様々なモデルを作るための材料等を見せていただきました。腹腔鏡のシミュレーションで器用な腕前を披露してくれた調教授でした。

▲トロント大学医学部に隣接するMount Sinai Hospital
臨床研修はこのような大学と提携している病院で行われます。

▲Mount Sinai Hospital のSill Lab.で腹腔鏡のトレーニングマシンを体験中(腹腔鏡は触るのも体験するのも初めてでした。)
その後は駆け足で、カナダ家庭医協会のナスミス会長にお会いし、へき地医療について日本とカナダの現状についての意見交換をしました。カナダでもへき地医療を担う人材確保は、支える家庭の問題も関係するため苦労しているそうです。(一つは子弟の教育問題だそうです。)
ひきつづいて、今回のカナダ訪問の目的であるへき地診療所訪問です。ここで濱田先生とはお別れして、へき地医療担当のカール先生と一路トロントから北のハリバートン(Haliburton)へ向かいました。
トロントを出発してから約3時間のドライブでハリバートン(Haliberton)に到着しました。月明かりに浮かび上がる雪景色は幻想的でした。その日の夜はカール先生の自宅にご厄介になりました。寝る前に、カナダの自然のすばらしさについて、いろいろとお話ししてくださいました。
翌朝は奥様お手製のパンケーキに自家製のメープルシロップを掛けた朝食をおなかに納めた後、診療所へ向けて出発しました。
ハリバートンのへき地診療所前にはヘリポートあり病院の前にヘリコプターが到着可能です。病院は入院施設と救急外来(ER)のみで、外来の診察は街の中心部に開設されたクリニックで行われます。
開業のドクターが病院にベッドを持つシステムです。病院には遠隔医療のシステムが備わり、地域の基幹病院の専門医とのコンサルトが可能なシステムが構築され稼働していました。この病院から半径80km以内に病院は無いとのことでした。
▲ハリバートンの病院。手前の駐車場の奥がヘリポート
急性期病床に加えて慢性期病床も備えている。
▲遠隔医療システム
双方向通信システムで基幹病院の専門医にコンサルトできます。聴診用のマイクも備えていました。
家庭医の初期臨床研修もハリバートンで行われており、クリニックでの外来や病院で研修を行います。カール先生はこの病院の研修教育担当者として定期的にトロント大学で教育の業務に携わっています。
▲Dr.Karlのクリニック。
内科だけでなくさまざまな疾患に対応する。
見学終了後、我々が訪れたレストランでカール先生は多くの町の住人に挨拶を受けていました。彼の姿は地域に密着した医療の象徴と感じました。
こうしてカナダの視察は終わりました。
今回の視察した感想は、カナダでは卒後の初期臨床研修のシステムが確立されていること。それは、検査技術よりも診断の技術に重点をおかれていると感じました。また、家庭医と呼ばれる総合医の存在がカナダの医療のキーワードです。
帰りは寒波の影響で飛行機が遅れ、飛行機を乗り継ぎに苦労しながら帰国しました。(荷物は乗り継ぎに乗り遅れたため、数日たって日本に届きました。)
今回の訪問は、濱田先生のご尽力により有意義な見学をすることができましたことをこの場を借りてお礼を申し上げます。
最後に、3月に今回カナダでお世話になったカナダの教授二人を日本に招待してへき地医療に役立つ臨床医教育の講演会やワークショップを行います。多くの医師、学生の参加をお待ちします。 |
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