初期研修医

山田 塁 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)
山田 塁 山田 塁
横浜市立大学附属市民総合医療センター
平成29年6月1日~平成29年7月31日
(平戸市民病院)

 今回2ヶ月という比較的長い期間地域医療研修をさせていただきました。というのも以前から地域医療に興味があり、是非じっくりと研修をさせていただきたいと考えていたからです。という意欲的な理由であればよかったのですが、26年間横浜以外に住んだことがなく地方での生活を経験してみたいという理由からでした。長崎市街は実はこれまでに2回訪れたことがあり、街の雰囲気が非常に気に入っていたため、地方に行くのであれば長崎で、と考えて平戸市民病院を希望いたしました。同じ長崎県内ですから長崎市と平戸市は離れていたとしてもせいぜい1時間程度だろうと高を括っていましたが、全くの見当違いであることを後で思い知らされました。長崎空港に着いたのは12時過ぎなのに、そこからバスを乗り継いで平戸に着いたのは16時過ぎ。そこからさらにバスに乗り、田畑と海しか見えない田舎道を小一時間走りやっと病院に着きました。全くの別世界に来てしまったという印象でした。横浜から遠く離れた地での研修は不安でしたが、特徴的だったのが都市部と比較すると患者と医師の距離感が非常に近いということでした。医療には治療費の対価として疾患の治療を提供するというサービスの一面があると言われますが、平戸では単なるサービスの枠を超えて、健診を介した生活指導やコメディカルとの連携による生活環境の整備など、患者の日常生活に深く関わっていると感じました。そういった距離感に不思議と心地よく日々の診療にあたることができました。
 また平戸市の高齢化率は36%を超えており、数十年後の日本の人口形態を先取りしていると言われています。そういった高齢化の進んだ地域社会で診療に携わり、抱えている問題点を肌で感じることができたのは今後の診療において大きく役立つのではないかと感じました。
 2ヶ月間を通して非常に有意義な研修をさせていただき今では非常に満足しています。ご指導いただいた先生方、研修を支えてくださった職員の皆様、本当にありがとうございました。