初期研修医

田中 龍二 (東京大学医学部附属病院)
田中龍二 田中 龍二
東京大学医学部附属病院
平成28年8月1日~平成28年8月26日
(平戸市民病院)

 時が経つのは早いもので、平戸での4週間に渡る研修が終了しました。
 宿舎に到着したのは研修が始まる前日の夜でしたが、あまりの暗さと周囲の建物の無さに戸惑い、何度か車のナビを確認したことを思い出します。
 研修内容は朝の健診から始まり、外来見学、訪問診療、訪問看護、訪問リハ、乳児健診、平戸荘回診、離島研修など、僻地ならではのものまで多岐に渡りました。
 訪問した家々は山奥の細道を進んだ先にあり、なかなかお目にかかることのできないような古いところも多く、心の底からカルチャーショックを受けました。同時に、そんな環境でご高齢の方が独居されているお宅もあり、平戸市民病院が地域に根付く病院として、いかに重要な役割を担っているのかを実感しました。
 よく医療教育の現場では、患者の「病気」ではなく、「患者」を見ることが大事だと言われますが、平戸市民病院ではそうした医療が実践されているのを目の当たりにしました。ここの外来では医師と患者さんがよく話をします。長い時には1時間以上話をすることもあります。そこで考えることは、どのような診断をつけてどういった治療をするのかではなく、どのような問題を抱えていてどういったアプローチをすることで患者に干渉していくか、といったことでした。また、訪問診療時の押淵院長が患者さんに投げかける言葉には、患者さんを安心させるとてつもないパワーが宿っていました。
 東大病院では決して学ぶことのできない、都市部とは対極に存在する医療を経験でき、とても充実した4週間となりました。平戸市民病院の職員の皆さま、本当にありがとうございました。