初期研修医

井出 裕季子 (社会医療法人 神鋼記念会 神鋼記念病院)
井出裕季子 井出 裕季子
社会医療法人 神鋼記念会 神鋼記念病院
平成28年10月31日~平成28年11月25日
(平戸市民病院)

 徳島の小さな漁師町出身の私にとって、平戸はどこか地元の雰囲気に似ていて親しみやすかったです。平戸ならではのおいしい食べ物、壮大な自然、野生のイノシシ、田んぼの巨大マシュマロなど、いろいろなものを見たり食べたり遊んだりと公私ともに充実した一か月でした。
 平戸では特に訪問診療をよく行っているのが印象的でした。住んでいる環境や、実際に生活ができているか、家族との関係…そういった患者背景を知ることができるいい機会だと思いました。病気を治しても、家での生活ができなければ意味がない。大事なことは病気を治すことでなく、人を知り、人を診るということなんだなということを実感しました。
 診察面では、「触る」ことの大事さを教えていただきました。高齢者の方は眼も見にくく、耳も聞こえにくいです。そんなときに耳が聞こえないからと大きな声でしゃべられると怒られていると感じてしまう方も多いようです。そうなると、自分の言いたいことが言えなくなってしまい、心を閉ざしてしまう可能性があります。そんな時、手を握ったり、肩に手を置くなどのふれあいがあれば、触覚を通じてコミュニケーションが取れ、安心感を与えることができます。その中でもとくに、「脈をとる」ことは診療の一番初めにでき、簡単なことなので、普段の診療の中に取り入れ実践しようと思いました。
 私たちは、普段見ている一人一人の患者さんに訪問診療はできないけれど、想像力を働かせて、生活背景まで一歩踏み込んだ診療ができるようスキルを磨いていきたいと思います。
 一か月間本当にお世話になりました。