初期研修医

星野 薫 (横浜市立市民病院)
星野 薫 星野 薫
横浜市立市民病院
平成29年11月6日~平成29年12月1日
(平戸市民病院)

 横浜生まれ、横浜育ち、学校・職場も横浜。横浜から一歩も出たことがない、
ちっぽけな社会で生きてきた箱入り娘が、はじめての一人での飛行機で長崎空港に着いたところから私の1ヶ月の地域研修は始まりました。空港からはバスを乗り継ぎ平戸市民病院へ向かいました。夕日の光を反射しキラキラした深く青い海をまたぐ赤く立派な平戸大橋を渡ったあたりから、心がざわつきだしました。道を進んでいくうちに、暗い緑の木々、黄金色の田んぼ、そのなかに屋根の低い茶色い民家が散らばっている風景が広がり一層不安が増す中、バスのアナウンスで「平戸市民病院」と流れ、急いで降り立つと森の中にぽつんと佇む病院が目の前に現れました。ここか、、、とCity Girlは愕然としました。平戸の市街からはかなり離れており、まわりに何もない、コンビニはあるけど街灯もない夜道をイノシシに襲われる恐怖に怯えながら歩くのは危険すぎる、こんな所で1ヶ月生きていけるとは到底思えーん、と思ったのが平戸市民病院に着陸した時の心情です。そして、このレポートを書いているのは1ヶ月たった最終日。今の私はこのまま平戸に骨を埋めるのも悪くないなと思う程、平戸が好きになり、寂しい気持ちで一杯になりながら平戸で1ヶ月学んだことを綴ろうと思います。
 地域研修では、横浜での研修ではできない経験たくさんさせて頂きました。訪問診療、看護、リハ、ケアマネ、健診、通所リハ、と全てあげたらきりがありません。普段は病院で患者様の様子しか見ておらず、退院後自宅や施設でどのように過ごされているかを見る機会はなかなかありませんでした。一人の患者様が不自由なく元気に暮らすために多くの職種の方が関わっており、それぞれの職種の方がどのようなことをして、どのように患者様に関わっているかを知ることが出来ました。たとえ一つの職種でも現状を把握できておらず間違ったことをすると患者様の生活は瞬く間に崩れていくのを感じました。医師は患者様を支えるチームのリーダーであり、チームが正しく動いているかを把握し適切に指示を出す必要があり、時として上に立たなければなりません。しかし、医師がしていることは医療のほんの一部であり、その他の部分は様々な職種の方が真剣に医療に携わっているからこそ成り立っていることを深く感じ、謙虚な姿勢で感謝の気持ちを忘れずに、それぞれの職種の方と積極的にコミュニケーションをとっていくことが大切だと改めて痛感させられました。
 と、いうこと意外にも、健診の重要性、どういった話し方、接し方が患者さまを安心させ、信頼関係を築く上で大切か、など学んだことを挙げたらきりがないです。この地域研修で学んだことひとつひとつを、これからの長い医師生活に生かしていき、より良い医師になれるよう頑張ります。
 最後にはなりましたが、未熟でお調子者でできの悪い私にいつも笑顔で温かく接し、多くの事を教授してくださった先生方、コメディカルの皆様、へき地病院再生支援・教育機構の皆様、平戸市の皆様、そして飲むが大好きな楽しい時間をすごさせてくれた同期の方々、本当にありがとうございました。
また平戸に上陸いたします。