初期研修医

堀 七世 (東京大学医学部附属病院)
堀 七世 堀 七世
東京大学医学部附属病院
平成29年4月3日~平成29年4月28日
(平戸市民病院)

 一番はじめ、平戸市民病院を検索し、その所在を確認した時は「何かの詐欺にあっているのでは」とも思ったものですが、橋を渡るとそこには立派な病院がありました。
 思い返せばあっという間で、研修医2年目の最初の1ヶ月をこの平戸で過ごせてよかったとしみじみと思っています。もっと勉強しなければという思いに苛まれつつも毎日笑い、走り切ったこの1ヶ月間を忘れないと思います。
 平戸は、自身の出身である富山と比べてもかなり僻地でした。橋は架かっていますが島という立地からもかなり坂が多く、麻痺の残る足腰の不自由なご高齢の方が、信じられない様な坂の上で生活されている光景を何度も拝見しました。また日用品を買うための店は、遠い・少ない・品揃わないの3拍子が揃っており、田舎から上京した身として、島民の生活に思いを馳せておりました。
 医療に関しても刺激的な環境でした。外来の患者は65歳以上が当たり前で、訪問診療や看護、リハビリ等、都会の大病院では珍しい業務が平然と行われています。ここには普段、想像するしかなかった退院後の患者の生活にもしっかりと寄り添う世界がありました。院長直々に地域に寝付けた健康診断を初め、特別養護老人ホームでの回診や、小学校検診など、オールマイティーな先生方には日々脱帽の連続でした。
 またこの1ヶ月間では、病院の先生、スタッフ、地域の方々と様々な話ができました。制度や環境、家族関係などのどうしようもないことを地域全体で支えようとしていて、住みにくいけど住みやすい不思議な場所がここ平戸なのだと体感致しました。
 この地での生活を、大切に、当たり前に過ごせる皆様を尊敬してやみません。温かな1ヶ月間の研修に関わっていただいた皆様、本当にありがとうございました。