初期研修医

赤羽 祥太 (独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院)
赤羽祥太 赤羽 祥太
独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院
平成26年1月6日~平成26年1月31日
(平戸市民病院)

 一か月間大変お世話になりました。平戸市民病院では外来診療、健診などをはじめ、訪問診療や出前講座など地域ならではの医療の形を知ることができました。普段勤務している横浜労災病院は神奈川県横浜市に位置する700床程度の比較的大規模な病院で、医師をはじめとした医療スタッフ、医療資材等も充実しています。また、交通網も発達しているため患者側も医療へのアクセスが比較的容易です。
一方、今回の地域医療研修で私が目にしたものは全く異なったものでした。医療スタッフ、資材が充分とは言えない環境下での診療、また病院へのバスの本数も限られており、来院し診察を受けるだけでも一日がかりといったことも稀ではありません。中にはなかなか医療機関に受診することができず、治療が行われないまま放置され状態が悪化してしまうケースも見受けられました。
 そんな中で打開策の一つとして考えられるのが、健診や出前講座などをはじめとした予防医学という考え方です。普段、何らかの疾患を抱えた患者を診療する環境にいる私にとって、「病気にならない」「病気をそれ以上悪くしない」といった考え方は非常に新鮮であると同時に、それこそが医療の原点となる考えなのだと感じました。特に、地域のつながりの強い平戸ではそのような患者の意識に働きかけ、それを伝播させることで市民全体の健康を維持するといった予防医学の考え方は非常に理にかなっていると感じました。
 短い研修期間ではありましたが、今回の平戸市民病院で身をもって学ぶことができた医療のあり方を今後の診療に活かしていくと同時に、熱心に指導していただいた先生方、研修の調整をしていただいた長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構の皆様に厚く御礼申し上げます。